ジャンニー二がリードとコリリアーノに伝えたこと

ジョン・コリリアーノJohn Corigliano(1938- )
映画『レッド・バイオリン』でアカデミー音楽賞、交響曲第2番でピューリッツァ賞(2001年)で知られる、アメリカ現代音楽界の巨匠。ジャンニーニは彼の「型にはまらない才能」を認め、確固たる基礎を授けました。その結果、師の精神を継ぎつつも、現代の感性で聴衆の心に直接訴えかける強いメッセージ性を持った独自の音楽を花開かせました。
ジョン・コリリアーノは、後にこう回想しています。
「ジャンニーニは非常に厳格で、私たちが書いた音符の一つ一つに理由を求めました。その厳しい訓練があったからこそ、私は自由な現代音楽の世界でも迷わずに自分の音を見つけることができたのです。」
師匠のジャンニーニが「伝統の守護者」だったのに対し、コリリアーノは「伝統的な技術を使いながら、極めて現代的で衝撃的な音響を作り出す」作曲家です。彼の作品を知る上で外せない吹奏楽2作品がありますので紹介しておきます。

 

ガゼボ・ダンス (Gazebo Dances 1972)
コリリアーノが若き日に書いた、非常に親しみやすく「可愛い」作品です(後に吹奏楽編曲)。

アメリカの村の広場(ガゼボ=東屋)で演奏されていた市民バンドの、のどかな雰囲気を描いた組曲です。ロッシーニ風の序曲、少しぎこちないワルツ、抒情的なアダージョ、そして快活なタランテラ。師匠譲りの「イタリア的な歌心」と「遊び心」が最もストレートに表現されています。初心者にも親しみやすく、コリリアーノの別の側面を知るのに最適です。


交響曲第3番『キルクス・マクシムス(サーカス・マキシマス)』

 (Circus Maximus-Symphony No.3  for Large Wind Ensemble 2004)
ジャンニーニが『交響曲第3番』で吹奏楽の伝統的な美しさを確立したのに対しコリリアーノはこの同じ「第3番」という番号で、吹奏楽の概念を破壊・再構築しました。
古代ローマの大競技場(キルクス・マクシムス)での狂乱と、現代の過剰なエンターテインメント社会を重ね合わせた、約35分の大作です。
空間音響: ステージ上の本隊だけでなく、客席を取り囲むように配置された「サラウンド・バンド」、さらに客席を練り歩く「マーチング・バンド」が同時に演奏します。曲の最後には、なんと本物の12口径ショットガンが発射され、衝撃的な結末を迎えます。ジャンニーニから学んだ「完璧なオーケストレーション」が、ここでは「暴力的なまでの音圧」と「繊細な夜の自然の音」の両極端を描き出すために使われています。日本での演奏は2016年5月にジェリー・ジャンキン指揮(2005年この曲を委嘱し初演)洗足ウインドシンフォニーが演奏しています。


 



ナタリーのための子守唄 

Lullaby for Natalie  arranged by Peter Stanley Martin

名ヴァイオリニストのアン・アキコ・マイヤーズ氏の愛娘ナタリーさんの誕生を祝し、彼女の夫からのサプライズ・ギフトとしてコリリアーノが書き下ろした慈しみに満ちた小品です。オリジナルはヴァイオリンとピアノの為に書かれた曲ですが、作曲者の手で管弦楽用に編曲されました。のちにコリリアーノ監修のもと吹奏楽版にも編曲されました。

後半の重厚な交響曲に向かう前に、この繊細な調べを置くことにしました。非常に静かで美しい子守唄。彼の「歌」の側面を堪能できます。

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